このプロジェクトは幹線道路から内側に入った裏通りの三叉路にあり、表参道側からアクセスするとちょうどアイストップになる。この現実的な状況を前にして、集合住宅を住宅の集合体であるように計画することよりも、街角に意識を集中させた単体のあり方を考えることの方が重要に思われた。
立地条件から、共同住宅であっても、実際の使途は不明である。住居とは限らず、そのユニットは都市の中のレンタル空間として存在する。その空間が都市活動の何かに使われ、そこにアクティビティがあるというライブな雰囲気が素材の違いによる陰影と相まって境界面の表情に深みを与えると考えた。穴開きブロックに囲まれたエントランスホールは、建物内部の空間と街路空間が混合される場所であり、半分開放されたような領域感、昼間の陰影と夜の漏れ灯りによって、街角に表情をもたらす。